10年ほど前に偶然読んだ本の一説なのだが、
売上は“伸ばす”ものではなく、“選ぶ”ものた゜なんて、
初めて聞く意外な言葉だった。
われわれや皆さんのビジネス、そして規模の大小、そして
技術的な優位性など、さまざまな変動要因はあるのだと思うが、
ずっと心に引っかかっている言葉なのです。
私は、社会に出た頃から、また独立してからも、「取りあえず
売上は伸ばすものだ」と、頭から信じていたし、今年より来年、
そしてまたと信じ切っていた。
この本によると、売上拡大よりは、売上選別の姿勢を貫いている
企業の、20年以上の長期的(短期的ではなく)な利益推移を見ると、
確かに同業他社と比較して、売上・利益の乱高下が少ないのだ。
さらに、抜きんでた高い利益率を維持し、市場で確固たるポジションを
確立しているのだ。
特徴的な1つは、製造工場を大きく構えず、最低限にとどめており、
工場設備を稼働させるための売上目標を立てないのだ。
まぁ私如きの浅知恵者でも、理由はよくわかる。
最新の製造工場を作ったら最後、工場を稼働するために、無茶な受注を
強いるだろうし、無茶な受注を促すための低価格受注も容認するはずだ。
製造業でなくても同じだ。
例えば小売りでも飲食でも、店舗数を拡大すれば、短期的には売上は
伸びるかもしれないが、店舗数や人員の拡大は、無茶な販売を強いる
だろうし、採算度外視の低価格販売も辞さないだろう。
と言いつつ、“伸ばす”努力より(これも大変だが)も、“選ぶ”努力は難しいのだ。
だって、“諦める”売上を決めるってことですよ。
私にはできない…けれど、小企業こそ目指す戦略だと思っている。
興味のある方は一読ください。
「経営戦略を問いなおす(三品和弘)」。