文房具好きの私にとって、驚きのニュースが2/29に飛び込んできた。三菱鉛筆がドイツの筆記具メーカー「ラミー(Lamy)」の全株式を創業家から買い取り、完全子会社にするとのこと。ドイツには数多くの文房具メーカーがあるが、中でもステッドラー、ファーバーカステル、ペリカン、そしてラミーが好きだ。各メーカーには独自の雰囲気があり、私はボールペン、ローラーボール、シャープペン、鉛筆などを毎日使う。
ラミーには「ラミー2000」というブランドがある。2000年まで通用するデザインというコンセプトで1968年に発売、なんと56年経った2024年現在でも販売されるロングセラーだ。私は4色ボールペンを、この25年の間に5~6本買っている。落としてしまったこともあるし、壊れることもある。
文具マニアの私から言わせると、総合的な品質や機能は日本製が抜群によく、例えばボールペンのインク品質は間違いなく日本製に軍配が上がるし、しかも安い。書いていてストレスが一切なく最後まで書けるのだ。かたやラミーのインクは、夏は書きやすいが冬はインクが固まるせいか途端に書き味が悪くなる。
しかし私だけなのかもしれないが、ラミーに関わらずステッドラー、ファーバーカステル、ペリカン、ロットリングは、書くたびに使う人(わたし)の心をくすぐるのだ。
心をくすぐる…というのは、ペンを使って文字を書く行為そのものを「上質なひと時」に感じさせてくれる(大げさだが)。
そして、大したことは書いていないのに、書いた内容まで上質に見えてしまうのだ。
より良いものを、より安く…ではなく、やるべき仕事(書く[描く]こと)を、かけがえのないひと時にしてくれる体験を“ブランド”ということかもしれない…なんて思ったりして。
最近、原点回帰の動きなのか「メイド・イン・ジャパン」を打ちだす製品がある。もちろん悪いことではないが、“作り手のこだわり”をアピールしすぎの印象だ。
“使う人が使う場面を通じて感じる気分”は、作り手の思いと物語を押しつけるものではなく、“そこはかとなく”感じるものではないか…と思ったのです。
品質や機能も大事なのだが、もっとも大切なことは「メイド・フォー・カスタマー」なのだ。
三菱鉛筆の傘下に入っても、「メイド・バイ・ラミー」を感じさせてほしいな…。
皆さんの会社の製品やサービスは、「メイド・フォー・カスタマー」ですか。
さて自分の会社はどうなのだろう。