こころときめく 営業楽「学」ブログ まだ何もしていない、 だからやることはたくさんある 変わるキッカケのヒント


■複数の目(選別眼)で視ないと何も見えない。


多くの会社で使われている営業指標として、顧客ごとの年間売上高(受注額)でランク付けする「ABC分析」がある。

どんなビジネスでよいのだが、例えばA印刷の営業・田中さんは顧客を20社担当し、そのうち一番は年間300万円の売上の予備校・小宮ゼミと、同じく年間300万円の売上の薬局・土井ドラッグの2社で、ABC分析では、2社ともAランク客だ。

 

しかし受注額からではなく顧客の発注額からみると、小宮ゼミは年間3000万円の発注額があり、A印刷の受注額は300万円なので、残りの印刷需要は2700万円もあり、他社に発注されている。また土井ドラッグは年間発注額が350万円で、同じく300万円なので、残りの印刷需要はわずか50万円で深耕余地がないことがわかる。

 

これがABC分析の落とし穴である。

「自社の受注額」からは小宮ゼミも土井ドラッグもAランクの重要顧客だが、「顧客の総発注額」からは、顧客から見たA印刷の重要度が見える。つまり小宮ゼミから見たA印刷は重要度の低い業者にすぎず、土井ドラッグから見たA印刷は頼りがいのあるパートナーなのだ。

こうなると営業のやり方(戦略、方針)も自ずと変わるはずだ。

例えば、深耕余地の大きい小宮ゼミは、“できる”営業が担当し、訪問回数を増やし、人間関係を高め、引き合いを増やし、少しずつ受注を重ね存在感を高めていく。また土井ドラッグは、深耕余地はほぼないものの現在の受注額は大きいので気の利いた対応を心がけ、他社の参入を許さないようにするとか、対応が異なる。

 

多くのビジネスも同じだ。特に重要な顧客(Aランク客)は、年間の発注額はいくらで、どんな製品(サービス)を、どの会社(ライバル)に発注しているのかなど、ある程度情報を集めなければ、何の手も打てないはずで、結果ただ頑張るしかなくなる。

 

自社から顧客を視るだけでなく、顧客から視た自社はどんな位置づけなのか…を視る目を持つことが大切だ。

 

昔も今も、需要はお客様のところにしかない。

■ロジックとマジック。


「ロジック(Logic)」とは「論理」「筋道」「理屈」を意味し、物事を順序立てて考え、結論に導く思考のプロセスや方法を指すことはご存知だと思う。

当然のことながら、ビジネスではロジック(論理や筋道)が重要視される。提案の目的(何のため)や目標(どうなりたい)は何か、ターゲットは誰か、セールスポイントは、顧客へのベネフィットなど、全体を通して筋道が通り、説明できることを求められる。

もちろんロジックだけでなく、やる気もあり人柄もよいから提案が採用されるエモーション(感情)も重要だが、何といっても大事なことは「ロジック」だ。

しかし、「ロジック」は時代と共に変化し、常に最新のロジックを駆使して、相手(顧客)から納得を勝ち取らなくてはならない。

 

私自身、次から次へと出てくる新たなキーワードや手法の数々…、例えばAIDXを活用した新たなロジック(キーワードや手法)など、表面的にはわかったふりはするものの、実はついていけないことを、ある著名な方に吐露したことがある。

 

その人は、同じ歳ながら有名大学教授であり、MBAコースで教鞭をとり、100冊以上のビジネス戦略関連の著書を持つ方で、「田中さん、人を説得したり、納得してもらうにはロジックはとても大事ですから、常に勉強は欠かせませんが、われわれには長い経験に基づき、さまざまな場面で使えるマジックがあるじゃないですか。だから何も心配いりませんよ」と。その言葉に私は救われた。ロジックも大事だけど、長い経験に基づく熟練の技(マジック)が、解決と納得を導き出す(らしい)

 

ロジックとマジック、そしてロジックだけでなくマジック。

永らく一つの道を経験したわれわれには、ロジックだけでなくマジックもあり。その両方を使いこなすことで、安心や信頼を創りだせること。

 

以来私は、ロジックはほどほどに、マジックで生きている。

■請求書の「旅」と「物語」。


たぶんほとんどの会社は、営業担当者から依頼された経理担当者が請求書を発行し、お客様に郵送する。

そして、お客様に届いた請求書は、経理部門が開封し、誰かが請求額が見積り額と照合し、その後指定日に支払いされ、請求書は保管される。

これが「請求書の旅」で、企業が毎月おこなうルーチンワークだ。

 

このルーチンワークに、少しだけ違うことを追加している人がいる。

請求内容がプリントされた味気ない請求書に、毎回手書きのメモを添えているのだ。

メモの内容はいろいろで、直近の仕事のお礼や手伝えなかった案件のその後の結果を聞いたり、また最近印象に残ったできごとなどらしい。

だから、たった10社分程度を郵送するだけなのに、手書きメモを添えるため、1~2時間かかるらしい。

効率を考えたら、さっさと封して送ればいいのにと思うが、手書きメモのおかげでなかなか会えない人や会ったことのない人(経理の人)も、手書きメモを読んで、メールで返事やお礼をくれる人、相談ごとが増えたりするそうで辞められないのだそうだ。10社分だからやろうと思えばできるけど、500社も1000社も請求書を出す会社はできっこないと言うし、そもそもすでに電子化されているのでできっこない…という人もいるだろう。

 

お伝えしたいのは、請求書の量の問題ではないし、できない理由を聞きたいのでもない。

この人曰く、請求書は請求内容を記した書類というだけではなく、「感謝とコミュニケーションのツール」でもあるという。

請求書の発行という“当たり前の日常”に、ひと味加えている人に、私はただただ感心した。

 

2022年の1月から電子帳簿保存法が義務化され、移行期間を経て、請求書も電子化されていくことで、また一つ手書きのコミュニケーションが減っていく。

ヒトからコミュニケーションの手段を奪うデジタル化なんて、これでいいのか…と思ったりして。

 

インボイス・ジャーニー、たかが「請求書」という名の書類にも「旅」があり、「小さな物語」が生まれる。

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